夏も冬も過ごしやすい家は、換気システムにこだわりがあります!

シックハウス対策として、平成15年以降、マンションでも、一戸建てでも、24時間換気システムを取り付けることが義務化されました。キッチンの換気扇やお風呂場の換気は、必要なときだけ付けたり消したりしますが、24時間換気システムは、昼でも夜でも常に換気しています。

このため、家の中の空気はいつでもきれいな状態になるのですが、常に外から家の中に空気を吸い込んでいますので、冬は冷たい空気を、夏は熱い空気を、家の中に吸い込んでいる状態となります。

わたしたちが以前住んでいた賃貸マンションにも24時間換気システムがあったのですが、冬は外の冷たい空気が入ってくるため暖房の効きが悪く、あまり良くないとはわかっていても、寒い日には24時間換気システムを止めてしまうこともありました。冬の24時間換気は、東京でも寒いと感じてしまうのですが、24時間換気で寒くなってしまうのは仕方がないと、諦めてはいないでしょうか

最近では、熱交換式と呼ばれる換気システムが普及し始めています。熱交換式であれば、外の空気を家の中に吸い込むときに、空気を暖めたり冷やしたりすることができますので、家の中の温度に近い空気を取り入れることができ、室温を保つことができるようになります

換気システムの種類

換気システムには、家の中に空気を取り込んだり、家の中から外に空気を出したりする方法によって、第1種、第2種、第3種の3種類があります。この中で一番多いのが第3種換気システムで、賃貸住宅にお住まいの場合は、ほとんどが第3種換気システムとなっています。

第3種換気システム

第3種換気システムは、家の中の空気を外に出すために換気扇を回す方式です。換気扇で家の中の空気を追い出せば、通風口を通じて、自然と家の外から空気が入ってくることになり、換気ができるわけです。キッチンの換気扇やお風呂場の換気と同じ方式ですね。

家の中に1つの大きな換気扇を置けば良いので、シンプルなシステムとなり、コストも安くなります。このため、この第3種換気システムが入っているおうちが一番多くなっています。

デメリットとしては、各お部屋に外の空気を取り込むための通風口が置かれることになりますので、通風口を通じて、いつも家の外の空気が入ってくるという点です。冬の寒い日には冷たい空気が、夏の暑い日には熱い空気が、いつも部屋に入ってきますので、暖房や冷房の効きが悪くなってしまいます

第2種換気システム

第2種換気システムは、家の外から家の中に空気を取り込むために換気扇を回す方式です。換気扇で家の中に空気を取り込むことで、排気口を通じて自然と家の中の空気が出ていきますので、換気ができるわけです。

この方式だと、各お部屋に換気扇を置いて外から空気を取り込みますので、各お部屋の換気が確実に行われるというメリットがあります。デメリットとしては、換気扇の数が多くなりますので、システムがやや複雑となり、その分コストが高くなってしまいます。このため、第2種換気システムを入れているおうちは、ほとんど見ることがありません。

第1種換気システム

第1種換気システムは、家の中に空気を取り込むときも、家の中の空気を外に出すときも、どちらも換気扇を使う方式です。強制的に換気扇で空気を家の中に取り込み、強制的に換気扇で空気を家の外に追い出すことになりますので、換気をしっかりとコントロールすることができます。

システムが複雑となりますのでコストが高くなってしまうのですが、換気をコントロールすることができるというポイントが、熱交換システムと一緒に使うことで、換気する空気の温度をコントロールすることができるようになります。

熱交換式の換気システム

熱交換式の換気システムとは、家の中から出す空気が持つ熱と、家の外から取り込む空気が持つ熱を交換するものです。冬であれば、家の中は暖房で暖かく、家の外は寒くなっているのですが、外の冷たい空気をそのまま家に取り込むのではなく、暖かい家の空気を外に出すときに、その熱を外の冷たい空気に移すことで、外から家に取り込む空気の温度を上げることができるという仕組みです。

例えば、暖かい家の空気と、冷たい外の空気を混ぜると、ぬるい温度の空気になりますよね。換気して、暖かい家の空気を外に出すときに、その暖かい温度と外の冷たい空気の温度を混ぜて、外の空気の温度を暖めてから家に取り込むことができたら、家の中は寒くならずにすむというわけです。

単純に家の中の空気と家の外の空気を混ぜてしまうと換気にはなりませんから、熱交換素子と呼ばれるものを通すことで、空気が持つ温度だけを混ぜることができるようになります。そうすれば、エアコンを強くしなくても部屋の温度を快適に保つことができるようになりますから、省エネにもなります。

詳しく仕組みを勉強されたい方は、旭化成建材株式会社さんが作成している「あたたか族」というサイトで詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。

熱交換換気装置―熱を操る省エネ機器

熱交換換気システムを扱っているメーカーや建築会社

北欧では、冬の寒さへの対策と、省エネへの高い意識から、普及が進んでいる熱交換換気システムですが、日本ではまだまだ普及が進んでいません。それでも、大手メーカーでは三菱電機さんが「ロスナイ」という商品を販売していますし、海外のメーカーではスティーベルさんが日本でも展開しています。

わたしたちは、マーベックスさんというメーカーの、「澄家」という熱交換換気システムを使っています。どこのメーカーさんであっても、熱交換の原理は同じなのですが、天井裏に機械を置くものや、床下に機械を置くものなど、様々なバリエーションがあります。

注文住宅を立てるのであれば、熱交換換気システムをアピールする建築会社が増えてきていますので、一度検討してみると良いと思います。例えば、「家は、性能」とアピールする一条工務店さんは、高気密高断熱住宅を得意とする建築会社ですが、「ロスガード90」という熱交換換気システムを扱っています。

わたしたちがお願いしたタツミプランニングさんでも、「魔法瓶ハウス」という名前で、高気密高断熱住宅と熱交換換気システムをセットで扱っています。もちろん、注文住宅を建てるのであれば、どこの建築会社でも熱交換換気システムをオプションで追加することができるとは思いますが、熱交換換気システムは、気密性の高い家でなければ隙間から外の空気が入り込んでしまい、十分な効果が出ないので、一条工務店さんタツミプランニングさんのように、熱交換換気システムを得意とする建築会社にお願いするのが安心ですね。

建売住宅でも、熱交換換気システムを売りにしているものを見かけることがありますので、注文住宅でも、建売住宅でも、これから家を買おうとする方にとっては注目すべきポイントですね。

熱交換換気システムのデメリット

熱交換換気システムを扱っているメーカーさんや建築会社さんのホームページを見ても、良いことばかりしか書いていません。でも、熱交換換気システムにもデメリットはあります。

価格面では、ふつうの換気システムと比べて、数十万円単位でコストが高くなります。

そして、換気システム全体の掃除をどうするかという問題があります。ふつうの換気システムでは、キッチンの換気扇を掃除するように、蓋を外して拭けば綺麗になるのですが、熱交換換気システムだと、床下や天井裏にダクトが入っていますので、ダクトの内部まで綺麗にしようとするとなかなか大変です。

わたしたちの家では、フィルターを通して取り込んだ空気が、床下を通って家の中に入ってくる仕組みになっています。フィルターの掃除は時々やっていますが、床下の汚れは、今のところ気になるものではありません。何年か経ったら、床下に潜って掃除かなぁ・・・なんて想像だけしています。

まとめ

熱交換換気システムは複雑な構造になりますので、新築するときに設置することが基本です。リフォームするタイミングなどで後から取り入れることもできますが、大がかりな工事が必要となりますし、気密性を確保することが難しいので、あまり現実的ではありません

熱交換換気システムには大きなメリットがありますが、デメリットもありますので、あらかじめしっかりと検討して、住んだ後に後悔しないように賢く選びたいところです。 もし迷うようであれば、熱交換換気システムは、自信を持ってお勧めしたいと思います

わたしたちは、高気密高断熱にして、熱交換換気システムもつけていますので、夏は涼しく、冬は暖かく、とっても快適に過ごせています。電気代も、賃貸マンションに住んでいたときよりも実際に安くなっていますから、省エネにもなって一石二鳥ですね。