夏は涼しく、冬は暖かい、家族で快適にすごせる家を建てるために必要なこと

2020年3月28日

新築した一戸建てですから、当然に、快適に過ごすことができると期待が高まります。しかし、実際に住んでみると、冬になって、思ったよりも寒かった、とか、引っ越し前に住んでいた賃貸マンションの方が暖かかった、とか、そういう話をよく聞きます。

夏は涼しく、冬は暖かい、そういう快適さに大きく影響を与えているのは、暖房や冷房といった空調システムよりも、断熱性、気密性、そして、換気システムです。

マンションの場合、分厚い鉄筋コンクリート構造となっていますから、基本的に、断熱性や気密性は木造の一戸建てより高いです。そして、マンションでは、両隣や上下が他の部屋になっていて、外気に接するのはベランダ側と玄関側だけですが、一戸建てだと、上下左右のすべてが外気に接していますので、外の気温や日差しの影響をもろに受けることになります。

これだけでも、マンションから新築の一戸建てに引っ越したとき冬に寒かったとか、夏に暑かったとか、そういう話を聞く理由がわかるのではないでしょうか。

わたしたちは、夏は涼しく、冬は暖かい、そういう快適な家を建てることが何よりも重要だと考え、断熱性、気密性、換気システムにこだわって家を建てました。新居に住んで1年が経ちましたが、こだわったおかげで、これまで住んでいた賃貸マンションと比べても、夏は涼しく、冬は暖かい、とても快適な生活をしています

断熱性

断熱性とは、外の気温や日差しの影響を、家の中に影響させないための性能です。断熱性が低いと、冬にどれだけ暖房を効かせても、外の気温の低さの影響をまともに受けますので、なかなか暖かくなりません。

一戸建ての断熱性は、壁や天井に入れる断熱材の性能と、窓やサッシの断熱性の2つがポイントとなります。

壁や天井の断熱

壁や天井を断熱するする方法は、主に二つあります。1つは、外壁全体を断熱材で覆ってしまう外断熱(外張り断熱ともいいます)で、もう一つは、柱と柱の間、外壁と内側の壁との間に断熱材を入れる内断熱(内張り断熱ともいいます)です。

家の外側全体を断熱材で覆ってしまう外張り断熱の方が断熱効果が高いのですが、価格が高くなりますし、得意とする建築会社も限られてきます。建売住宅の場合、ほとんどが内断熱となっていますし、外張り断熱となっているのは一部の注文住宅がほとんどです。ことため、わたしたちは内断熱としました。

グラスウール素材の断熱材

一戸建ての場合、ふつうは、壁や天井にグラスウールと呼ばれる素材が使われています。グラスウールとは、綿状になったガラス繊維のことで、綿状になることで空気をたくさん含み、断熱性を確保することができます。ダウンジャケットやおふとんが暖かいのは、中の綿や羽毛が空気をたくさん含むことで断熱性を確保するからなのですが、それと同じです。

グラスウール素材の断熱材は、綿状の素材となりますので、柔軟に形を整えて様々な場所に入れることができます。また、価格が安いこともメリットです。ガラス素材でできていますから、熱にも強いです。

しかし、水や湿気に弱く、濡れると断熱性が低下してしまいます。また、グラスウールの入った袋を壁の間に詰めて固定するのですが、グラスウール自身の重さや地震などの衝撃でずれたりすると、断熱性が低下してしまいます。外の暑さや寒さは、少しの隙間からでも伝わってきますので、グラスウールの断熱材は、しっかりとした、丁寧な施工が不可欠となります。

発泡ウレタン系の断熱材

これに対し、最近多くなってきているのが、発泡ウレタン系の断熱材です。発泡ウレタン系の断熱材は、ウレタン等の素材に発泡剤を混ぜて発泡させることで、多くの気泡を含んだ断熱性能の高い断熱材となります。イメージとしては、ポリスチレンという素材を発泡させて作る発泡スチロールみたいな感じです。

発泡ウレタン系の断熱材は、断熱効果が高いのがメリットです。また、家を建てる現場で発泡剤を混ぜて発泡させ、その場で吹き付けていきますので、柱と柱の間に隙間なくピタッと発泡ウレタン系の断熱材を充填することができますし、柱や壁に張り付きますので、ずれにくいという特徴もあります。そして、湿度に強いというメリットもあります。

しかし、グラスウール素材の断熱材と比べると、価格が高くなります。また、燃えるときに有毒なガスを出す物もあるようです。ただ、燃えるときに有毒なガスを出す物は断熱材に限りませんから、断熱材だけこのことを気にしても仕方がないという意見もあります。

まとめ

グラスウール素材の断熱材も発泡ウレタン系の断熱材もメリット・デメリットありますが、わたしたちは、より断熱性の高い発泡ウレタン系の断熱材を選びました。暑さ寒さに影響されない、快適な家にしたかったからです。

実は、住み始めてから気づいたのですが、発泡ウレタン系の断熱材は、断熱性も高いのですが、防音性も高く、雨粒が屋根や壁に当たる音が入ってきません家の中が思ったよりも静かになったというのもまた、発泡ウレタン系の断熱材のメリットだといえます。

実は、グラスウール素材や発泡ウレタン系以外にも断熱材はいろいろあるのですが、価格が高く、施工できる建築会社も限られていますので、あえてご紹介しませんでした。

家の断熱については、いろいろな意見がありますので迷い始めるときりがありません。どのような家に住みたいのか思い浮かべて、予算との兼ね合いから、どこまで妥協するのか、それともこだわるのか、考えてみるのが良いかと思います。

窓やサッシの断熱性

賃貸マンションに住んでいたとき、冬になると、窓から冷えてくると感じていました。実際、窓に使われているガラスやアルミサッシは、断熱性が低いのです。このため、ホームセンターなどでは、窓にプチプチを貼り付けて断熱性を高めるようなグッズがよく売られているのを目にします。

冬が寒い雪国では、ガラスとガラスの間に空気やガスを入れることで断熱性を高めた複層ガラスや、そもそも窓が2重になっていたりしますが、今では雪国以外でも複層ガラスの家が増えています

また、サッシについても、アルミではなく、熱伝導性の低い樹脂で作られたサッシもありますので、窓やサッシについても、断熱性にこだわることで、快適な家を建てることができました

アルミ樹脂複合サッシ

最近では、夏も冬も過ごしやすい、快適な家を建てたいというニーズから、アルミ樹脂複合サッシが使われている家が増えてきました。これは、アルミと樹脂をうまく組み合わせることで、高い断熱性と、安い価格を両立させたコスパの良いサッシです。

通常のアルミサッシと比べると高い断熱性があるのですが、一部とはいえアルミが使われているため、外の暑さや寒さを完全に遮るには、すこし心許ないところです。

樹脂サッシ

樹脂で作られたサッシです。アルミ樹脂複合サッシよりもさらに高い断熱性がありますので、東京あたりだと、寒い冬でもほとんど結露することがありません。北海道では、一戸建てのほとんどが樹脂サッシだという話も聞きます。

例えば、YKKさんのAPW330という樹脂サッシのシリーズは、商品紹介のホームページで、「『省エネ建材等級』において最高等級★★★★の商品です。」と紹介していますから、その性能の高さには自信があることがうかがわれます。

このように、樹脂サッシは高性能なのですが、その分、お値段も高くなってしまいます。例えば、我が家の場合、建築会社の見積りによっては、アルミ樹脂複合サッシから樹脂サッシに変更するのに、高いところでは追加で50万円安いところでも10数万という見積りがありましたので、その値段の違いは小さくはありません。

窓ガラス

窓ガラスにも種類があり、1枚だけの窓ガラスから、2枚、3枚の複層ガラスまで様々です。北海道のような寒さの厳しい地域では3枚の複層ガラスも考えられますが、東京あたりであれば、2枚の複層ガラスで十分だとされています。

また、窓ガラスそのものに断熱加工や遮熱加工がなされているものもあります。窓ガラスは日光を通しますので、部屋の中が熱で暖められます。夏の強い日差しを遮熱加工で遮ることができれば、夏のエアコンの効きも良くなるというものです。

サッシの断熱性をこだわるときには、併せて窓ガラスの性能にもこだわりたいところです。

まとめ

東京のように冬の寒さがそこまで厳しくない地域であれば、コスパを考えて、アルミ樹脂複合サッシという選択肢が多いようです。実際に、建売住宅のほとんどが、アルミ樹脂複合サッシになっていると思います。

わたしたちは、賃貸マンションから引っ越した新築の一戸建てが寒かった、ということは絶対に避けたいと思い、夏でも冬でも快適な家になるよう、サッシにはこだわりました。そして選んだのが、YKKさんのAPW330という樹脂サッシです。

新居で実際に生活を始めてから、1年が経ちました。今年の冬は暖かかったとは思いますが、家の中は寒さ知らずでとても快適でした。結露もほとんどありません。日中は、日差しがあれば家の中が温まるので暖房いらずですし、実際に、電気代は賃貸マンションで生活していたときよりも安くなりました

樹脂サッシとアルミ樹脂複合サッシとでかなり金額が違ってくるのですが、生活を始めた後でサッシを入れ替えることは現実的ではありません。今後の快適な生活につながってくると考えると、後悔しないように、樹脂サッシを選んでも決して高くはないと思います。

気密性

気密性も、家の快適さを大きく左右します。隙間から外の風が入ってくるような家では、冬に寒いということは簡単にわかりますが、今時の新築で、隙間から風が入ってくるのが感じられるほど気密性の悪い新築住宅はあまり考えられません。ですが、木造の一戸建てを大工さんが組み立てるわけですから、全く隙間がないかといえば、そうとは限りません

例えば、グラスウールの断熱材を入れるとき、入れ方によっては多少の空間が残ってしまうことがあり得ますが、そこから外の熱気や冷気が漏れてくることもあります。また、時間が経てば、木材の乾燥により、多少なりとも変形はしますので、やはり、外気が漏れ出すことがあります。

このように、気密性が悪いと、いくら断熱性を高くしてエアコンを使ったところで、効果が低くなってしまいます。そこで、建築会社の中には、高気密住宅であることをアピールポイントにしているところもありますが、高気密を追求しすぎると、費用が高くなってしまいます

それに、木造の一戸建てでは、柱や壁に使っている木材は生きていて、時間が経つと少しづつではありますが、反ったり曲がったりしてしまいます。このため、、時間が経てば、自然と、少しずつではありますが、気密性が悪くなってしまうことが避けられません。

このため、わたしたちは、予算との兼ね合いから、気密性にはほどほどにこだわることにして、発泡ウレタン系の断熱材を選びました。断熱材が発泡ウレタン系であれば、発泡したウレタンがピタッと柱や壁にくっつくので、それなりの気密性は確保できるからです。

わたしたちの家では、気密性を測定したことはありませんので実際の数値ではどうなっているのかよくわかりませんが、今のところ、夏も冬も快適に過ごせていますので、よしとしています

換気システム

換気システムも、家の快適さを大きく左右する、重要なポイントです。というのも、シックハウス症候群といった問題があったので、建築基準法で24時間換気が義務づけられているのですが、その基準は、1時間で部屋の空気の半分が入れ替わるものとなっています。つまり、2時間で部屋のほとんどの空気が外の空気と入れ替わってしまうのです。このため、冬場になると、あまりの寒さで24時間換気を止めてしまう方も多いのではないでしょうか

なので、どんなに断熱性を高めて、どんなにエアコンにこだわっても、換気システムにこだわらなければ夏の暑さや寒さに大きく影響される、暮らしにくい家になってしまいます。

このように、換気システムはとても重要なのですが、建売住宅のほとんどが普通の換気システムになっていて、何の対策もされていません。おそらく、家を買う側にも、家を売る側にも、換気システムの大切さが十分に理解されていないのだと思います。

わたしたちは、換気システムにもこだわって、第一種換気システム(熱交換式)というものにしています。おかげで、24時間換気をつけっぱなしにしていても快適に過ごすことができています

喚起システムにつても詳しくお伝えしたいところですが、換気システムはとても大切なポイントになりますし、お伝えしたいことも多いので、改めて詳しくご紹介したいと思います。

まとめ

断熱性、気密性、換気システムの3つを制することができれば、夏でも冬でも快適に過ごせるおうちを建てることができます。新築の一戸建てなのに、冬が寒い、なんて後悔をしたくはありませんので、この3つのポイントだけでもしっかりと意識することが大切だと思います。

とはいえ、すべてにこだわりすぎてしまうと、予算がいくらあっても足りません。なので、わたしたちは、断熱性と、換気システムにはこだわりましたが、気密性についてはあまりこだわりませんでした。しっかりと勉強をして、自分たちに必要なポイントだけこだわりを持つことで、コスパよく、快適な家を建てることができるようになります